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従業員の自発的な行動を増やす 効果的な称賛方法とは

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カテゴリ:
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  • 人材育成

人材を「資本」と捉え、社員の持つ力を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値の向上を目指す人的資本経営。2023年3月期決算から、有価証券報告書を発行する企業を中心に、この人的資本の情報開示が一部義務化されました。これに伴い、企業はますます自社の人的資本の最大化を検討する必要に迫られています。

なかでも、組織エンゲージメントの向上やパーパスの浸透により、従業員の自発的な行動を増やすこと、そしてそれらを可視化することは、人的資本開示の視点からも重要な指標になると考えられます。
※組織エンゲージメントの向上やパーパス浸透、自発的行動の重要性については、こちらのコラムをご参照ください。(コラム「成果を生み出し続ける『強い組織』のつくり方」

そこで本稿では、組織の従業員の自発的な行動を促す、「より効果的な称賛の仕方」について、PRAISE CARDの特徴も踏まえて紹介いたします。

 

感謝の表明や称賛による効果

社会科学分野の研究において、従業員の自発的な行動(=プロアクティブ行動)を促す要因は、以下の3つであると言われています。

①自分で行動できる自信があること(can do)
②行動を起こす理由があること(reason to)
③行動に駆り立てるポジティブ感情があること(energized to)

この3つの要因は、いずれも内面的な動機や感情に起因するものであり、金銭的な報酬や罰では喚起しにくいという側面があります。では、どうすれば内面的な動機や感情にアプローチできるのでしょうか。そのひとつの方法として「感謝」や「称賛」が挙げられます。「感謝」や「称賛」は従業員の内面的な動機を高めることができ、それが①自分で行動する自信や③ポジティブ感情=前向きに仕事に取り組む意欲につながっていくのです。

心理学における「感謝」の基礎研究では、感謝の表明には次のような効果があるとされています。

①誰かのためを思う行動(利他性・主体性・向社会的行動)
②ウェルビーイングやエンゲージメントの向上
③他者との繋がりの強化

特に、「感謝」は①や②に対する効果が大きく、①利他性や主体性をもつ従業員や②エンゲージメントの高い従業員同士をつなぐことで、③他者との繋がりが強化され、チーム力の向上を促すことになります。(図1)

図1:A社のバリューカードの流通量

これに加え、「感謝」以上の効果も期待できるのが「称賛」です。「称賛」は、主に人助けや援助に対して発生する「感謝」に比べ、それ以外の幅広いシーンにおける行動に適用することができ、組織における望ましい価値観をわかりやすく伝達することが期待できるため、称賛対象の行動をより強化することができるのです。

 

称賛(感謝)による効果を高めるには

このように、「感謝」や「称賛」は人的資本を高めるにあたり非常に高い効果を期待できますが、一方で感謝や称賛の仕方によっては、思わぬ副作用をもたらすことがあります。先に述べたように、「感謝」や「称賛」には良くも悪くも相手の行動を強化する力があります。従って、相手の自発的な行動を正しい方向に導くよう注意しなければなりません。

では、より正しく効果的に自発的な行動を促すには、どうすれば良いでしょうか。

まず、称賛(感謝)の効果をより高めるには、称賛する内容をより具体的に定義することが重要です。具体性の高い称賛とは、称賛を受けた側が「何を称賛されたのか」「どうすれば良いのか」を理解できるかどうかがポイントとなります。例えば会議のシーンを例に挙げると、「さっきの会議内での発言はすごく良かったね」と称賛された場合と、「会議では積極的に発言していて良かったね」「会議では他の参加者と別の視点で発言していて良かったね」と称賛された場合では、後者の方が、どのような思考や行動を称賛されたかが明確で具体的だと感じるのではないでしょうか。図2

図2:称賛の具体性の違い

このような具体的な称賛を受けることは、より自信を持って前向きな行動をとることにつながります。逆に、例に挙げたように具体性の低い曖昧な内容の称賛では、「何を褒められたのか」がわかりにくくなり、称賛の効果を弱めてしまう懸念が生じます。

さらに、より正しい方向に行動を強化するには、組織の価値観や規範・風土・文化に即した内容を称賛する仕掛けが重要です。

PRAISE CARDは、従業員間で贈り合う称賛カードの設計において、組織で大事にしたいパーパスや価値観に基づいて称賛する内容を自由に定義することができ、その内容により具体性を持たせられるよう、贈るシーンに応じたコメントを入れられるようになっています。

 

感謝・称賛することの効果

ここまで、「感謝・称賛される」ことによる効果を高める方法について紹介してきましたが、一方で、実は「感謝・称賛する」側にもポジティブな影響が期待されています。

それは、他社に対して感謝するために「物事のポジティブな面に目が向きやすくなる」「自分の内省や行動改善につながる」「他社の視点に立って考えられるようになる」などの効果です。

そのため、企業においてよく従業員と組織長のコミュニケーション活性化やエンゲージメント向上のための施策として実施される1on1ミーティングなどの前段階として、ポジティブフィードバックや相互理解を目的とした「感謝・称賛の習慣化」も重要だといえます。

このように、人的資本を高めるための「感謝」「称賛」は、「つながり強化・相互理解の促進(関係の質)」だけでなく、「内省・視点の取得(思考の質)」「自信獲得・自発的行動の強化(行動の質)」が高まることにもつながり、組織の成功循環モデルに沿って企業の結果の質を高めていくのです。

 

感謝や称賛には、それぞれ期待できる効果と、それらをより効果的に促進する運用の仕方があります。当サービスでは、PRAISE CARDを通じてこのような効果を高めるUI/UX設計をしています。また、カードごとの利用状況を把握し、現状の可視化や、効果的な運用のアドバイス、人的資本の可視化・最大化の取り組み支援も行っていますので、ご興味のある方はぜひお問合せください。

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