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PRAISE CARDの運用事例から見えてきた行動につながりやすいバリューとは

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カテゴリ:
  • 人材育成
  • 理念浸透

企業理念の浸透とは、企業が掲げる理念を社内全体に周知し、それを従業員全員がしっかりと理解して日々の活動の中で体現している状態を生み出すことです。これは言うまでもなく、人的資本経営を推進する上でも非常に重要な活動です。しかしながら、企業理念を策定したものの実際にはうまく機能していないという企業は少なくなく、そのような相談からPRAISE CARDの利用を検討されるケースが増えています。

では、具体的にどうすればいいのでしょうか。
企業の掲げる理念は、多くの場合、ミッション(パーパス)、ビジョン、バリューの3階層構造で作られます。その中でもバリューは、ミッションやビジョンを達成するための具体的な行動指針や判断基準となる要素であり、組織に理念を浸透させ従業員ひとりひとりがそれを体現する上では特に重要な項目です。そこで本稿では、その「バリュー」に着目し、これまでのPRAISE CARDの運用実績を踏まえ「バリューを浸透しやすくするために押さえるべきポイント」をご紹介します。

 

2社のPRAISE CARD運用事例から見えてきた事実

組織の理念浸透を目的にPRAISE CARDを活用する場合、その組織の「バリュー」をベースに称賛カードを開発します。そして、それを日々の業務の中で贈り合うことにより、その「バリュー」ひいては企業理念に対する理解を深め、浸透を図っていきます。カードを贈る側は「この人のこの行動は、このバリューを実現している」というように、理念が体現されたことに気づいて相手を称賛し、カードを受け取った側は称賛されたことにより、自身の行動が理念を体現していたことを認識します。

このようなやり取りを通じて、徐々に理念に対する意識と理解が深まっていくのですが、実際にこの方法でPRAISE CARDを活用し理念浸透を図っている2社の運用結果を分析すると、次のような傾向が見えてきました。

以下に示すのは、各社の利用カードの推移です。PRAISE CARDを利用し始めて30日後、60日後までにそれぞれのカードがどのくらい贈られたかを数値で示しています。

まずA社の数値を見てみると、A社のバリューに基づくカードのうち「Supporter」がもっとも多く、次いで「Be proud」と「Goodパートナー」が多く贈られていることがわかります。一方で、「先見の明」は突出して流通していないこともわかりました。(図1)

図1:A社のバリューカードの流通量

 

 

 

 

 

 

 

 

同様にB社を見てみると、「寄り添う」、「明るく前向き」がもっとも多くなっており、全体的にバランス良く贈られていますが、「グループシナジー創出」だけが極端に少なくなっていました。(図2)

図2:B社のバリューカードの流通量

 

 

 

 

 

 

つまり、同じようにバリューに基づいて作られたカードの中でも、「贈られやすいカード」と「なかなか贈られないカード」があることがわかったのです。

そして、それはカードに書かれている項目の難易度の影響もあるものの、両社ともに、おおよそその内容が体現されたシーンが具体的に想像されやすいものが多く流通しており、逆に流通が極端に低いものは、カードに書かれている言葉の抽象度が高く、実際にこのカードを贈るシーンがイメージしにくいものでした。この傾向については、実施後のアンケート結果からも同様の相関が多数確認できました。

 

バリューを現場で流通させるための3つのポイント

①バリューの体現が現場レベルで具体的になっていること(体現のしやすさ)

言うまでもないことですが、誰かにカードを贈る際、贈る側がよくわからないと感じているカードを贈ることは、まずありません。そのカードが示す内容を体現している状態というのはどのようなものか、具体的にイメージできることで、はじめてそのカードを贈ることが可能となるのです。

その証拠に、社内の各部門から関係者を募り、カードが贈られるシーンについて議論を重ねながらカードを設計していったC社では、A社・B社とは異なり、カードごとの流通量にはあまり差が出ませんでした。(図3)

図3:C社のバリューカードの流通量

②現場のメンバーを巻き込んだ開発(腹落ち)

バリューをカードに落とし込んでいくにあたり、各部門から検討メンバーを募るなど、できるだけ多くの人を巻き込んでいくこともひとつのポイントです。自らがワード開発に関わることで、まず自分ゴト化が進みます。また、検討の過程でそのバリューに対する理解も深まっていくため、可能な限り大人数で検討を進めていく方が、社内浸透の速度は上がっていきます。

前述のC社では、各部門より3名程度ずつが検討メンバーに加わり、各部門の意思が反映されるように開発をおこなった結果、全般的なカードの流通スコアも高水準になるという結果が得られています。

 

③作ったカードが意図も含めて共有されること(認識のすり合わせ)

最後に、カードは作って展開するだけではなく、関与者以外とも意図や認識をすり合わせることが重要です。どういう意図で、どのような形で体現されることを想定してワードを開発したかを共有しないままだと、流通がしづらいだけではなく、独自の歪んだ解釈で浸透してしまう恐れすらあるのです。

すなわち、全社にしっかりとバリューを浸透させていくためには、さまざまな部門を巻き込み、その意見を集約した上で、体現しやすく、誰もが腹落ちできるワードを設計し、全体で認識を合わせた上で運用していくことが重要だと言えるのです。

 

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