PRAISE TOPICS

研修施策におけるPRAISE CARDの活用と効果(前編)

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カテゴリ:
  • コミュニケーション
  • 人材育成
  • 組織マネジメント

企業の新入社員研修の目的のひとつとして、同期や上司とのコミュニケーション促進による「関係性の構築」が挙げられることは、過去のコラムでご説明しました(※1)。そして、この「関係性の構築」をより推し進めるためにPRAISE CARDが活用できるのではないかと、運営会社BIPROGYでは昨年度より、新入社員研修にPRAISE CARDを導入し、テスト検証を実施しています。

今回お届けするコラムの前編では、今年度のテスト検証を通じて得られた「ネットワーク図」に着目し、そこから見える効果と、ネットワーク図そのものが生み出す価値についてご紹介いたします。

※1:コラム「新入社員研修における PRAISECARDの効果とは」参照

 

1.今年度の研修におけるPRAISE CARD活用から見えたこと

今年度のBIPROGYの新入社員は、グループ企業を含めて合計250名ほどです。この全員に、4月よりPRAISE CARDを利用してもらったところ、研修序盤から昨年度に比べてより活発に利用され、研修60日目を迎えても、1日に100名程度の利用が持続していました。

また、今年度の研修内容は、職種を横断したコミュニケーションをより活性化したいという人事部門の狙いから、昨年度と比較して以下の点に特長がありました。
・昨年度はオンライン研修が中心だったが、今年度は対面での研修が増やされた
・技術系、営業系が混合して行う研修や課外活動が増やされた

この研修におけるコミュニケーションの様子をネットワーク図に落としたものが、下記の図です。

 

図:昨年度と今年度のネットワーク図比較

 

上記のネットワーク図は、東京女子大学の正木郁太郎氏の分析により、PRAISE CARDの活用データから個々のコミュニケーションの状況を可視化したものです。

この図を見ると、今年度は研修序盤の0~15日目においても職種が混在した状態でネットワークが密につながっているほか、昨年度はほぼ職種ごとに分かれてネットワークが形成されていた研修後半の46~60日目でも、今年度は技術系と営業系の交わりが続いている様子もわかります。

つまり、このネットワーク図を通じて「職種を横断したコミュニケーションの活性化をはかるための対面研修や課外活動」といった人事部門の施策の効果が表れていることが確認できました。

 

2.ネットワーク図が生み出す2つの大きな価値とは

このように、新入社員研修においてPRAISE CARDを導入し、ネットワーク図を導き出すことの大きなポイントは「人事の施策の結果を客観的に見える化できること」です。この「結果の見える化」は、大きく次の2つの価値をもたらします。

① リアルタイムでのコミュニケーション状況の把握

ネットワーク図は、一定の期間(上図では15日ごと)で区切ってその時のコミュニケーション状況を把握することが可能です。それはつまり、研修が実施されている中、研修の運営側がリアルタイムで新入社員同士のコミュニケーション状況を確認できるということです。これにより、人事部門が当初立てた方針および施策の効果を把握することができ、その内容を次の施策に活かしたり、場合によっては施策の軌道修正を行ったりすることも可能になり、施策の効率を向上させることにつながります。

 

② 施策の成果の定量化

ネットワーク図は、新入社員研修の成果を定量的に示すことができるものです。研修をはじめとする人材育成分野の費用対効果というのは、非常に示すことが難しいものですが、これを定量的なデータに基づき経営層に対して示せることは、非常に価値が高いことです。

組織強化に向けて、人事部門が目指しているコミュニケーションのあり方に対し、その打ち手の結果がきちんとその目指す方向に近づいているかというのは、従来であれば定性的、感覚的に測るしかないものでした。それを定量的な結果として経営層に提示できることにより、成果の説得力が増し、次年度以降の予算配分や方針決定にかかる経営判断の材料にもつながります。そうすることで、より多くの施策に予算を投じたり、施策により厚みを出すことができたりするようになり、さらにその施策に対する効果を測るというPDCAを回していくことで、研修施策の効果を拡大させていくことができるのです。

 

3.PRAISE CARDの利用促進に向けて

このように、PRAISE CARDを新入社員研修に導入することは、単に新入社員同士のコミュニケーション活性化という点にとどまらず、企業の人材育成における研修施策そのものにとっても大きな価値につながります。しかし一方で、そもそも新入社員が積極的にPRAISE CARDを利用しなければ、データをとることができません。

では、どうすればPRAISE CARDの活用を効果的に促進することができるのでしょうか。
今年度の検証において、そこに大きく貢献したのがアンバサダー活動でした。
このアンバサダー活動は、新入社員全体に称賛や感謝を根付かせるとともに、アンバサダー自身の主体性やモチベーション向上にも寄与しました。

コラム後編では、このアンバサダー活動について、詳しくご紹介いたします。

PRAISE CARDおよびネットワーク図についてご興味をお持ちの方は、ぜひこちらよりお問合せください。