導入事例

潜在的なコミュニケーション欲求を解放し、称賛文化の根付いた強い組織づくりを目指す。


左)計画管理部 早川章江様
右)第二アカウント部 小木曽宏之様​​​
  • 会社名 :株式会社博報堂 中部支社
  • 従業員数:約100名
  • 事業内容:広告代理店

株式会社博報堂中部支社では、組織の「関係の質」の向上に寄与するコミュニケーション活性化に着目し、PRAISE CARDを導入。たった3カ月でコミュニケーションの質を大幅に向上させ、今では各自1日1回はカードを贈り合うことが習慣となっています。
一体どのようにPRAISE CARDを導入し、活用を進めていったのでしょうか。
株式会社博報堂 中部支社 第二アカウント部 小木曽宏之、株式会社博報堂 中部支社 計画管理部 早川章江にお話をうかがいました。


コロナ禍を経て関係性の希薄化が進む社内にボーダレスなコミュニケーションを浸透させたいと導入を検討

――PRAISE CARDを導入された背景やきっかけはどのようなものでしたか

小木曽:当社には、博報堂社員だけでなくグループ会社のメンバーがたくさん常駐しています。そのため、日頃から異なる背景や文化を持つ多くの人が同居して、チームを組んで目標に向き合うという、非常にボーダレスな活動が求められる環境だと思います。とはいえ、所属や立場、役割が異なる人たちとは、同じ事務所の同じフロアにいるにも関わらずきちんと挨拶や会話ができていない状況が続いていました。なんとかしたいと思いながらも、「挨拶をしましょう」と当たり前のことを大人に言ってもあまり意味がないですよね。そこで、PRAISE CARDのようなツールを楽しんで使ってもらうことでコミュニケーションを活性化すれば、よりボーダレスな環境を浸透させることができるのではないかと思いました。それが一つ目のきっかけです。

もう一つは「称賛する」という行為です。「称賛」は、このような社内の関係値の中では、恥ずかしさもありなかなか口に出せません。しかし当然言われると「こんなふうに思ってくれていたのか」と嬉しいものですよね。普段のやり取りが多くない人にも、カードを使って気軽に気持ちを伝えることで、それをきっかけに直接の会話が生まれたらいいと思い、導入を意識するようになりました。

早川:私は導入が決定した後に参画したプロジェクトメンバーなのですが、コロナ前と比べて社内のコミュニケーションが希薄になっていると感じていました。そんな今だからこそ、普段口に出して言いにくい感謝やねぎらいの気持ちを、カードを通じて伝えられるのは魅力的だと思いました。

小木曽:そうですね。やはり背景としては、テレワークが増えて物理的に対面のコミュニケーションができなくなってしまったり、その中に新しいメンバーが入ってきたりしたことがあると思います。

 

関与者を各部署へと広げ、ワークショップでイチから作り上げることにより全方位的な巻き込みを実践

――御社では実際に、どのようにPRAISE CARDを導入・運用していますか

小木曽:導入が決まった時、まず私が率先してプロジェクトを牽引したいと手を挙げました。面白そうだと思ったことと、私自身が日頃、意識的に組織の潤滑油になるよう動くことが多かったので、PRAISE CARDを使うことがよりその役割を加速させることにつながるのではないかと思ったことが理由です。

しかし当然一人でやっても仕方がないので、その課題感を同じように捉えてくれそうな人たちを各部署から最低1名以上選出してもらうことにより、関与者を全方位に広げました。6部署からそれぞれ2~3名ずつが参画してくれたので、全部で15名ほどのプロジェクトチームになりました。

それから、私たちはワークショップ形式を導入し、中部支社で掲げている活動指針をブレイクダウンしたときにどういうカードが使われやすいか、届けたいか、届けられたいか、という視点で、メンバー全員でカードを作り上げました。ワークショップを採用したのは、ボーダレスな環境を突き詰めるためにPRAISE CARDを導入するならば、一部の人だけが楽しそうにやるのではなく、巻き込む人を増やすほど機能すると思ったからです。当社は仕事でワークショップを行うことも多いため、議論は絶対に活性化すると確信していました。

ワークショップは3回ほど実施しましたが、改めて中部支社の活動方針を見直すきっかけになりました。元来その方針に皆共感はしているので、それをアウトプットすることに関してもスムーズに進んだ印象です。

このように全方位的に巻き込んでカードを作り上げていくプロセスそのものが、導入後にPRAISE CARDが非常に大きく機能した要因になったのではないかと思います。

 

・ワークショップで作成したカードの一覧

 

――全方位的に関与者を増やすにあたり、苦労した点などはありましたか

小木曽:実はそれほど苦労はありませんでした。私たちの場合、支社長からも是非導入したいという話があり、組織全体がそういうマインドになっていたのが大きいと思います。各部署からメンバーを出してほしいと依頼しましたが、きちんと趣旨が伝わった状態で、前向きに取り組んでくれる人たちが選出されて集まりました。何のためにどういう活動をするのか、というのが落ちている状態で声をかけることは大切ですね。そうでないと、適当な人をつかまえたように見えてしまい、どこかでやらされている感が出て破綻するのではないかと思います。

また、そのような環境ではなかったとしても、周囲とのコミュニケーションをボーダレスにとっているようなフラットな人はどの組織にもいると思うので、導入した方がそのような人を見つけて指名してしまうのも一つのやり方だと思います。組織には色々な人がいるので、よくよく見れば、自ずとそういう役割を担っている人はいるはずです。ただ、多忙な中での「やれ」という一方的な指名は嫌がられてしまうこともあると思うので、うまく焚きつけることが重要ですね。

 

自然発生的に広がった「1日1回カードを贈り合う」習慣
良いところを見つけることで、新しいメンバーも機能しやすい組織へ

――PRAISE CARDの導入によってどのような効果が生まれましたか
また、効果的に活用するためのポイントや留意点があれば教えてください

小木曽:アンケート結果にも出ていましたが、「これをきっかけに、直接言葉に出して御礼を言うようになった」という人が増えました。もちろん、普段から自然とできている人もいたと思いますが、意識的に言う人が増えたと実感できたのは最大の効果だと思います。

また、PRAISE CARDを導入したタイミングで、ちょうど私の部署に中途入社の社員が入ったのですが、彼らにとっては非常に良いコミュニケーションツールになっていると感じました。特に若手社員などは、まだ恐る恐る話しかけないといけないような目上の人から、仕事について「ありがとう」等のメッセージがカードで贈られてくるので、それをきっかけに会話することができたと言っていました。新しいメンバーがうまく機能するためのツールにもなったのではと思います。

早川:私は、チームや部署を横断したコミュニケーションがまた新たに生まれたのを感じました。褒められて嬉しくない人はいないと思うので、「今日は誰に贈ろうか」と人の良いところや頑張っているところを自然と見つけるようになったのを感じます。

また、私自身はこのプロジェクトに関わることで、小木曽さんをはじめとするメンバーの皆さんの普段の仕事の進め方を垣間見ることができたように感じ、改めて皆さんを尊敬するようになりました。私は管理部に所属していますので、普段はなかなかみんなで意見を出し合ってイチから何かを作るという経験ができないので、とても良い機会になりました。

小木曽:これは活用のポイントではないのですが、私たちの組織に合っていたのではないでしょうか。実際にカードを使い始めると、1日1回はカードを贈り合うことが習慣になっています。こちらから特に何も言っていないのに、みんなが自然発生的にそのような使い方をしていたのです。当社の社員はみんなコミュニケーションが好きで、それが抑圧されてしまっていたのを、PRAISE CARDが解放してくれたようなところはあるかも知れませんね。

 

PRAISE CARDは社員間をつなげるコミュニケーションツール
称賛文化を根付かせることで、やがてチーム力、組織力の向上へ

――今後に向けての課題や目標はありますか

小木曽:今回PRAISE CARDを導入したことをきっかけに、称賛文化が浸透してきました。今、ようやくコロナが落ち着きを見せ、出社も増えつつあるので、今後はこの3年に比べて実際に会う機会が増えていくと思います。そのような中、今後は直接御礼や称賛を伝え合うことで、双方が高め合い、より強い組織になっていければいいと思います。

この流れを絶やさず称賛文化を根付かせることにより、会社が「いることが気持ちいい空間」になれば、この会社自体が良い場所になり、それは最終的にはチーム力、組織力の向上につながり、会社としての戦う力に昇華されるのではないかと思います。

 

――最後に、御社と同様の課題を抱えられている企業や、PRAISE CARDに興味を持たれている企業の皆様へメッセージをお願いします

小木曽:繰り返しになりますが、最近はテレワークやリモート会議が増え、どうしてもリアルなコミュニケーションの機会は減少する傾向にあると思います。そのような中、直接会わなくてもカードを贈り合うことができるPRAISE CARDは、社員間がつながっていくひとつのコミュニケーションツールとして捉えることもできますので、「称賛文化を根付かせる」という目的以外にも導入する意義はたくさんあるのではないかと思います。

早川:褒めたり褒められたりすることは、とても気持ちのいいことです。「何気ないことでも誰かの役に立てた」「頑張って良かった」などと感じることで、それが辛い時に力になるなど、個人のモチベーションアップにもつながっていくと思います。そして、それがチーム力、組織力となっていくのではと強く感じました。このようなツールを活用することで、仲間の良いところを見つけたり称賛したりする文化が根付かせられれば、最強なチームが作れるのではないかと思います。