PRAISE TOPICS

管理職の孤立化を防ぐ

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カテゴリ:
  • コミュニケーション
  • 人材育成

昨今の働き方の変化や多様性・インクルージョンの重視により、管理職の役割は従来の「指示・管理」から大きく変化しています。主な役割を挙げると、次のようなものが考えられます。
・組織成果の最大化
・部下の育成やキャリア支援
・パーパスやビジョンの浸透
・エンゲージメントの向上
・人事評価
・多様性やコンプライアンスへの対応 など

さらに、これらに加えてプレイングマネージャーとして第一線で活躍することや、年上部下のマネジメントなど、管理職への負荷は増える一方です。その結果、管理職が「罰ゲーム化」や「無理ゲー」と揶揄されることも多く、管理職になりたがらない若手が増加している現状は、企業にとって大きな課題となっています。

 

組織コミュニケーションのバッドサイクル化

管理職が緊急度の高い細かな業務に追われると、心理的な余裕を失い、情報伝達が一方通行になりがちです。その結果、部下とのやり取りは単純な作業指示に偏ってしまいます。
部下の立場から見ると、上司があまりにも多忙なため「声を掛けるのも申し訳ない」と感じ、次第に相談しづらい雰囲気が生まれます。こうした状況では、仕事の目的が共有されず、部下は言われたことを盲目的にこなすだけになり、成長実感を得る機会を失い、その結果、モチベーションが低下し、離職リスクが高まります。部下の離職リスクやモチベーション低下に直面した上司は「何とか対応しなければ」と考え、ますます業務に追われる――こうして負のサイクル(バッドサイクル)が回り続けるのです。

図1:管理職と部下のコミュニケーションにおけるバッドサイクル

バッドサイクルの原因分析

バッドサイクルの起点は「管理職が業務に忙殺され、心理的な余裕を失っていること」にあります。したがって、管理職の業務負荷を減らすことが解決策のように思えますが、本当にそうでしょうか。
確かに業務量が減れば、多少の心理的余裕は生まれるかもしれません。しかし、その余裕が必ずしも部下とのコミュニケーションに向けられるとは限らず、別の業務に充てられる可能性も大いにあります。
つまり、時間的な側面から余裕を作るだけでは不十分であり、「つながり」の側面からアプローチすることが重要だと考えます。

管理職が置かれている立場について、改めて考えてみます。
自分の上司からは「組織成果の最大化」「パーパスやビジョンの浸透」「エンゲージメントの向上」といった難易度の高いテーマへの迅速な対応を求められます。一方、部下からは「チーム内コミュニケーションの改善」「成長実感のある仕事へのアサイン」「キャリア支援」など、こちらも容易ではない要求に応えなければなりません。
このように、管理職は上司と部下の板挟みとなり、次第に以下のような思いを抱えます。
「こんなに身を粉にして頑張っているのに、誰も自分を気にかけてくれない」
「日々、積み上がる仕事をこなすだけで、組織としての一体感がない」
こうした状況が管理職の孤立感を深め、その「孤立感」こそがバッドサイクルの起点であり、真っ先に解決すべき課題だと考えます。

 

管理職の孤独感を和らげる

「誰も自分を気にかけてくれない」という思いは、管理職の孤独感を深めます。しかし、実際にはまったく誰も気にかけていないというのは、管理職の思い込みであることも少なくありません。
たとえば、声に出して伝えてはいなくても、心の中では感謝している部下や、「自分にはできないことをやっていてすごい」と称賛している部下がいるかもしれません。2-6-2の法則で考えれば、部下の約20%は好意的な姿勢を持ち、上司のことを気にかけている可能性もあるのではないでしょうか。
もし、この心の中での感謝や称賛を上司に伝えることができれば、管理職(上司)の孤独感は大きく和らぐはずです。

感謝や称賛は重要な役割を担いますが、「明日から全員で感謝・称賛し合いましょう」と宣言するだけでは、何も変わりません。そこで、以下でご紹介するPRAISE CARDのようなツールを活用することで、組織内における感謝・称賛のハードルを下げ、「感情」の側面を自然に引き出すことが、一つの有効な解決策となります。

図2:PRAISE CARDを活用した感謝・称賛の贈り合い

部下から管理職への感謝・称賛

上司に対してフォロワーシップを示す方法として、感謝や称賛はシンプルかつ有効な手段です。しかし、いくつか注意すべきポイントがあります。
まず、「部下から上司への感謝や称賛が、周囲からゴマすりやおべっかと受け取られないか」という点です。部下にしてみれば、自分の気持ちを素直に伝えただけなのに、周囲からそのように見られてしまうと、二度とやる気にはなれないでしょう。
また、部下が上司に対して感謝することは良いものの、称賛(例えば「リスペクトしています」など)となると、上司に対して失礼にあたるのではないかと考えて、称賛することを躊躇してしまうケースも考えられます。
感謝や称賛を開示(オープン型)にすることで、組織全体で「感謝や称賛が飛び交っている」状態を共有でき、そこから「自分もやってみよう」という広がりが生まれることもあります。
しかし、PRAISE CARDでは「周りの目が気になるから(ゴマすりやおべっかと思われるかもしれないから)贈るのをやめておこう」とならないよう、あえてクローズ型を採用し、内容は他者には開示されず、贈った人と贈られた人の間だけで共有される形式をとっています。
また、PRAISE CARDは、あらかじめ用意された「感謝・称賛カード」に簡単なメッセージを添えて贈る仕組みになっています。上司に対してメール形式で感謝や称賛を伝えようとすると、「こんな文章では失礼ではないか」「ちょっとした気持ちを伝えたいだけなのに、メールだと重くならないか」など、余計なことを心配してしまい、結局伝えられないこともあります。その点、PRAISE CARDは「感謝・称賛カード」があらかじめ用意されているため、メールで伝えるよりもはるかにハードルを下げて利用できます。

図3:PRAISE CARDの特徴(クローズ型、カード形式)

感謝や称賛を受けた管理職の心理的変化

部下からの感謝や称賛によって、上司には心理的な余裕が生まれます。その結果、部下をしっかり観察できるようになり、今度は上司から部下へ感謝や称賛を伝えられるようになります。こうした循環により、上司は相談しやすい存在へと変わり、部下のモチベーションが向上します。最終的には、部下の自律的な行動が増えていきます。
このようなサイクルが回り始めると、離職リスクやモチベーション低下といった管理職の業務負担を軽減することにつながります。さらに、管理職に心理的な余裕が生まれ、多忙な中でも部下とのコミュニケーションを楽しみながら業務に取り組むという、理想的な管理職像に近づくことができます。
そして、この理想的な管理職の姿を示すことが、管理職になりたがらない若手の増加に歯止めをかける一助になると考えます。

図4:管理職と部下のコミュニケーションにおけるグッドサイクル

今の時代、何でもこなすスーパーマンのような管理職になるのは現実的ではありません。もっと部下を頼り、部下からの感謝や称賛をエネルギーに変えて、チーム全体で成果を生み出す仕組みをつくることが重要です。そのためには、管理職と部下のコミュニケーションを増やし、部下が相談しやすい雰囲気を整えることが欠かせません。さらに、感謝や称賛を言葉にして伝える文化を育てることで、管理職自身も「一人ではない」という安心感を得られます。孤立を防ぐ鍵は、信頼関係と双方向のフィードバックです。

本コラムでご紹介したPRAISE CARDにご興味をお持ちの方は、ぜひこちらよりお問合せください。