成功循環モデル
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カテゴリ:- 人材育成
- 組織マネジメント

成功循環モデルは、ダニエル・キムが提唱した、組織が成果を上げ続けるためのサイクルを表現したフレームワークです。(図1)
図1:成功循環モデル(グッドサイクル)
成功循環モデルには4つの質(関係、思考、行動、結果)があり、図1のように関係の質を起点にしたもの(関係→思考→行動→結果→関係…)をグッドサイクルと呼んでおり、組織において次のような前向きな変化を生み出します。
・関係の質:日頃の会話や対話を通じて互いに信頼し合う
・思考の質:異なる考え方や価値観に触れることで新たな気づきを得る
・行動の質:仲間を巻き込みながら、新たな気づきを自発的に実践してみる
・結果の質:これまでとは異なる良い結果が生まれる
・関係の質:さらに信頼し合えるようになり、会話や対話が増える
これに対して結果の質を起点にしたもの(結果→関係→思考→行動→結果…)はバッドサイクルと呼ばれており、組織に悪影響を与えます。
・結果の質:いい結果が出ない
・関係の質:組織内に対立や責任の押し付け合いが起きる
・思考の質:自己防衛的になり思考停止状態になる
・行動の質:新たな思考が生まれず主体的に行動しなくなる
・結果の質:行動しないので結果はさらに悪くなる
成功循環モデルはシンプルで分かりやすいので理論を理解されている方は多いのですが、組織適用となるとうまくいかないことがあるのではないでしょうか? ここでは成功循環モデルをより実践的に活用するために、図2のように発展的な解釈をしてみます。(図2)
図2:成功循環モデルの発展的な解釈
図2でも、関係→思考→行動→結果→関係…というグッドサイクルを回していくことは変わりません。
砂時計のような形になっていますが、これは成功循環モデルの適用を繰り返していく中で、「思考の質をどこまで高めることができるか」が肝となることが分かったため、「関係→思考(下部分)」と「行動→結果(上部分)」に分割して考えることを提案しています。
「関係→思考」は砂時計の土台となっており、成果を上げ続ける組織においても土台となります。この土台の頂点(図2の赤丸)が「思考の質が高まった状態」で、ここまで到達できた人に対しては、組織がチャンスを与えることで自発的な行動が生まれ(図2中の展開・発散)、自ずと結果はついてくると考えています。
ではどのようにして、成果を上げ続ける組織の土台を築けばよいのでしょうか?
様々な手段があると思いますが、本コラムでは称賛をキーワードに実践的な方法をご紹介します。
■「思考の質」を向上させるには?
関係の質が向上して、互いに称賛を贈り合うようになると2つの効果が生まれます。
①自分が称賛されることで、自身の提供価値に気付く
②相手を称賛することで、自身の価値観を再認識できる
①は360度評価に近いかもしれませんが、自分では当たり前と思っていたことが相手からすると称賛に値するものであった場合、自身の提供価値に気づくことができます。
②は心理学でも言われていることで、「自分自身が相手を称賛するポイントは、自身が大切にしている価値観に近い」というものです。例えば、「あなたはグッドパートナーです!」という称賛をよくする人は、自身が「仲間とのつながり」を大切にしている傾向があるといえます。
このように称賛すること、称賛されることを通じて、自分の提供価値や価値観を内省できます。また称賛することで相手の価値観にも気付くので、自身と相手の価値観の違いがなぜ生じているのかを考えることで、自分の役割が明確になり、オーナーシップが芽生えてきます(図3)。
図3:自分と相手の価値観の違いを認識
オーナーシップが芽生えたということは、図2の赤丸に到達したことを意味するので、称賛によって、成果を上げ続ける組織の土台(砂時計の下部分)を築くことができたといえます。
■称賛を贈り合うハードルを下げる
称賛カードを贈り合うというポジティブな体験によって仲間との強い絆を作り出すPRAISE CARDを活用すれば、称賛を贈り合うハードルを下げて、成果を上げ続ける組織の土台(砂時計の下部分)づくりを後押しできます。(図4)
図4:PRAISE CARDを活用した称賛カードの贈り合い
PRAISE CARDでは、カードを自由に作ることができるので、称賛カードだけでなく、挨拶カード(ex.お疲れ様です!)や感謝カード(ex.ありがとう!)を追加することで、関係の質を段階的に向上させることもできます。また、企業のパーパス/バリューを称賛カードに反映させれば、企業の価値観と個人の価値観を照らし合わせることで思考の質を向上させることも可能になります。
ご興味をお持ちの方は、ぜひこちらよりお問合せください。