DE&Iのインクルージョンと称賛・感謝の関係性
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カテゴリ:- 人材育成
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一般的に、多様性とDE&Iが同じように語られることが多いですが、多様性はダイバーシティであり、DE&Iはダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン、含まれている概念的な意味合いは異なります。
そして、エクイティやインクルージョンがなければ多様性は組織力に活かされません。今回はインクルージョンに焦点を当て、インクルーシブな組織風土を醸成するにはどうしたらよいか、その1つの解として称賛・感謝の重要性についてご紹介します。
1.インクルージョンの構成要素
インクルージョンは日本語では包摂となるため、「受け入れる」ことに焦点が当たりがちですが、自分らしさを隠した状態で受け入れられても、本来の目的は達成できません。
インクルージョンを実現するには、「自分らしさを出すこと」と「仲間として受け入れること」が両輪になります。
図1は、個人のポテンシャルをフル活用して、自分らしさで活躍できる組織をイメージ化したものです。個人は様々なポテンシャルを持っているにも関わらず、会社/組織においては、与えられた役割に必要となる能力のみを切り出して、目に見えない枠内に収まった世界になっているケース(図中の左側)が多いように思います。これに対して、個人のポテンシャルをフル活用して、足りない部分は互いにストレッチしてカバーし合うことで、自分らしさで活躍できる世界(図中の右側)を作ることができると考えます。誰もが主体的に動き、与えられた役割を超えた行動(役割外行動、越境行動)が当たり前になっており、高いゴール設定であってもワクワクしながらチャレンジできる世界です。
図1:自分らしさで活躍できる組織イメージ
インクルージョンに話を戻しますと、左側の「枠に収まった世界」で受け入れられるだけでは不十分で、右側の「自分らしさで活躍できる世界」で受け入れられることが、インクルージョンの本当の姿と言えるのではないでしょうか?
その点を踏まえて、インクルージョンを以下のように定義してみました。
インクルージョン=自分らしさ×仲間として受け入れる
次に、「ドライと感情」という切り口で少し考えてみたいと思います。
図2:ドライと感情
今の組織マネジメントは合理的に管理する側面が強くなっており、上図の左側(形式的なつながり)になりがちであると感じます。
しかし、人間は感情に引きずられる生き物です。仕事だからといって急にドライになれるわけではないので、上図の右上(心のつながり×内発的な動機)に近づけることが必要ではないでしょうか?
自分の感情を隠さずに伝え/表現することで自分らしさを際立たせることは、図1で示した「自分らしさで活躍できる世界」を目指すことにもつながります。
2.PRAISE CARDのご紹介
PRAISE CARDは日々の業務の中で、仲間と称賛カードを贈り合うことを通じてコミュニティの活性化を促進し、「自分らしさで活躍できる世界」の実現を目指したソリューションです。
称賛・感謝が良いことだと分かっていても、面と向かって実践しようすると照れくささもあり、なかなか一歩を踏み出せないこともあります。そんなときPRAISE CARDという称賛に特化したツールを利用することで、この心理的ハードルを下げることができます。また、これまで貰った称賛カードをツール上で振り返ることで、自己効力感(「自分ならできる」「きっとうまくいく」)が高まるなどの効果も期待できます。
図3:PRAISE CARDとは
以降は、インクルージョンの構成要素である「自分らしさ」と「仲間として受け入れる」に対して、称賛がどのように寄与するのかを、PRAISE CARDデータ分析から見えてきた結果も交えながらご紹介します。
3.「自分らしさ」×「称賛」
ここではインクルージョンの構成要素の1つである「自分らしさ」と「称賛」の関係性を見ていきます。
自分らしさで活躍するには、「自分らしさに気付いて、その自分らしさを躊躇せずに出す」ことが必要となりますが、自分らしさ(価値観や思考/行動特性等)は氷山の水面下になります。このため自分のことであっても理解するのは簡単ではありませんが、感謝・称賛(する/される)を通じて自分の価値観に気付くことは可能です。
図4:氷山モデル
学術的には、感謝・称賛されることによって自己効力感や「自分が何かの役に立てる」という価値認識を得たり、称賛することで自分が大切にしている価値観を内省し、気付くことができると言われています。
実際のデータからもこれに近い結果が得られているので共有します。
PRAISE CARD利用枚数と、一定期間後に実施したアンケート回答得点の相関を分析したところ、感謝のカードを多く贈ったり、多く受け取ったりするほど「自己理解」(自分の長所・強みの理解)が高いと回答していました。このことからも、称賛・感謝は「自分らしさ」に気付く(自己理解)ことを後押ししてくれることが分かります。また、他者から称賛・感謝されることで自信を持って「自分らしさ」を発揮できるようになることはいうまでもありません。
4.「仲間として受け入れる」×「称賛」
仲間として受け入れるためには、まず相手を知ること(他者理解)が欠かせませんが、相手に対する無意識の思い込みやそれによる誤解が生じるケースも少なくありません。また、相手を知るために相手の立場になって物事を見ようとしても、その瞬間はできるかもしれませんが、日常業務の中で当たり前にできるようなレベルまでは至りません。このハードルを越える手段としても、称賛は役に立ちます。
図5:相手の視点に立って思考する
相手を称賛するには、相手を思い浮かべて、しっかり考える必要があります。これにより、自然と相手の視点に立って思考するようになり、自分中心の考えから視点が外れていきます。そして、今まで「自分が、自分が」と狭い範囲での利害関係で捉えていた状態から、視野が広がり前向きな取り組みが増えるようになります。
前述しました、PRAISE CARD利用枚数と、一定期間後に実施したアンケート回答得点の相関分析では、称賛のカードを多く贈るほど、また感謝のカードを多く受け取るほど、「他者理解」(一緒に働くメンバーの長所・強みの理解)もよくできていると回答していました。
さらに別の機会に実施した、PRAISE CARD利用者へのアンケートを通じて、他者に対して称賛/感謝を積極的に行うことが、「援助行動、越境行動」「自己理解」「チームワーク」などと相関する結果を得ています。また、チームワークに関しては、相手への称賛が多いほどチームワークの得点が高い傾向が見られました。
これらのことより、称賛・感謝を日常業務の中で習慣化することができれば、他者理解やチームワークが自然と進み、「仲間として受け入れる」環境ができあがると考えられます。
5.まとめ
「インクルージョン=自分らしさ×仲間として受け入れる」と定義したときに、「自分らしさに気付き、発揮することの難しさ」「仲間として受け入れるために、他者視点を持ち続けることの難しさ」がハードルとなりますが、称賛・感謝によって、これらを超える手助けできることが分かってきました。インクルージョンを高め、自分らしさで活躍できる組織、会社、そして世界を作ることにPRAISE CARDが少しでも貢献できればこんなに嬉しいことはありません。
ご興味をお持ちの方は、ぜひこちらよりお問合せください。