PRAISE TOPICS

研修施策におけるPRAISE CARDの活用と効果(後編)

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カテゴリ:
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企業の新入社員研修におけるPRAISE CARDの活用は、新入社員間の関係性構築に寄与するだけでなく、「研修」という施策の効果の見える化による価値を生み出すことを、前編コラムでご紹介しました。(※1)しかし、そもそもPRAISE CARDが利用されなければ、いずれの効果にもつながりません。

そこで後編となる本コラムでは、運営会社BIPROGYの新入社員研修において新たに取り入れられた「アンバサダー活動」の内容についてご紹介いたします。このアンバサダー活動は、PRAISE CARDの利用促進に貢献したばかりか、新入社員全体に感謝・称賛の習慣を定着させ、またアンバサダー自身の主体性やモチベーションも向上させました。

※1:コラム「研修施策におけるPRAISE CARDの活用と効果(前編)」参照

 

1.本検証で行われた「アンバサダー活動」の概要

BIPROGYが新人研修において「アンバサダー活動」を取り入れた目的は、新入社員ならではの等身大の視点からPRAISE CARDの利用をともに活性化させること、そして、アンバサダーとなった新入社員が実務の一部を体験することにより、新入社員の業務に対する不安解消やモチベーション向上に貢献することでした。

まず、PRAISE CARDについての説明会の際に新入社員から「PRAISEアンバサダー」を募りました。活動期間は、説明会を実施した4月8日から6月21日までの約3か月間で、事務局とともに新入社員研修期間中の「感謝・称賛のやり取り」によるコミュニケーション強化の施策案を検討し、実行しました。

この呼びかけに、21名の新入社員が手を挙げました。事務局では当初、10名程度の応募を見込んでいたため、想定の約2倍です。そこで急遽、全体をAグループとBグループの2つに分け、それぞれ2回のアンバサダーミーティングを実施してPRAISE CARD利用促進施策を検討・展開することとなりました。事務局からは、それぞれの施策実施後に、PRAISE CARDの利用状況レポートに基づくフィードバックを行いました。

 

2.アンバサダーの参画による施策の実行とブラッシュアップ

第1回ミーティングでは、説明会の際に出た利用促進策案をもとに、どれを実行したいか、どれを実行するのが効果的であるか等についてディスカッションを実施。Aグループでは、グループ活動がある日や長期間研修の最終日など、PRAISE CARDが使われやすそうな日時を指定したメルマガ配信をすることになりました。一方、Bグループでは、1週間、Teamsの新人チャット上で日ごとに異なるテーマを設定し利用喚起する「PRAISEキャンペーン」を施策として選定しました。そしてこれらの施策を、それぞれ第2回ミーティングまで実施しました。

第2回ミーティングでは、実施してきた施策を振り返り、感想を共有しました。感想の中には、「メルマガを送ると他の新入社員から声をかけてもらった」「PRAISE CARDを送ってみようという反応があって嬉しかった」というものもありましたが、一方で送信のタイミングや配信内容についての課題も抽出されました。これを受けて、送信は毎回17時に統一することや、配信するテーマに幅を持たせることなど、改善策を検討しました。

さらに、このタイミングで新しいカードの追加についても検討されました。以下の図に示す8枚のカードのうち、下段の4枚は当初より事務局が準備していたカード、上段の4枚がアンバサダー活動の結果追加されたカードです。

 

図:従来のカードとアンバサダー活動により追加された新しいカードの例

 

Aグループでは、ミーティング内で「あると嬉しい、使いやすいカードとは」をディスカッションし、「Let’s have lunch!(お昼食べに行きましょう)」と「I want to talk with You!(話してみたいです!)」を作成しました。Bグループは新入社員全体にどのようなカードが欲しいかアンケートをとり、その結果作成されたものが「good atmosphere(あなたのおかげで楽しんで取り組めました!)」と「thank you for teaching me!(教えてくれてありがとう!)」です。いずれも、新入社員ならではの視点から生まれたカードとなりました。

 

3.アンバサダー活用の効果

では、このアンバサダー活動は、具体的にどのような効果につながったのでしょうか。
まずPRAISE CARDの利用状況を見ると、利用開始から60日ほど経過しても1日100件程度が利用されており、昨年度と比べて利用者数・利用枚数ともに大きく増加していました。これは、同期であるアンバサダーからの働きかけにより利用が活性化したものと推察されます。

また、アンバサダー活動に参加した新入社員に応募した理由を聞くと、「先輩社員と関わりたい、少しでも接点を持ちたい」などの声が聞かれました。そもそも事務局が想定していた人数の2倍近くが応募していることからも、新入社員がこのような活動に興味関心や熱量を持つ背景として、“つながりを持つ”ことにもこの活動の意義を見出しているようです。彼らはアンバサダー活動におけるミーティングでも積極的にアイデアを出すなど、終始前向きな姿勢で関わっていました。さらに、実際にアンバサダー活動に参加して満足した点を聞いてみると、「自分が実施した施策の反応を同期から得られる機会があって、モチベーションアップにつながった」「新しいアイデアを自分たちで考え、実行できたこと/自分たちで考えた施策を実施してみて検証できた点」「発信に対して、周りの同期からリアクションをもらったり活動に興味を持ってもらえたりすることもあり、やりがいを感じることも多かった」等の回答が得られました。

つまり、アンバサダー活動は、その活動を通じてアンバサダー自身のモチベーションや主体性を向上させ、彼らの同期への積極的な働きかけによる波及効果として、新入社員全体のPRAISE CARD利用が活性化し、感謝・称賛の習慣が定着したと考えられます。

 

4.組織力向上の入り口に力を与えるPRAISE CARD

このように、新人研修期間中にPRAISE CARDを活用することは、研修の運営側と新入社員の双方にとってメリットがもたらされることを確認できました。価値観の多様化が進む中、互いの価値観を認めて称賛するPRAISE CARDの仕組みを取り入れることは、配属後の新入社員が多様な価値観を活かして生き生きと働くことにつながります。それは未来につながる組織力強化の第一歩と言えるのではないでしょうか。

 

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