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組織のレジリエンスを高めるコミュニケーション活性化の突破口とは?

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カテゴリ:
  • コミュニケーション
  • 組織マネジメント

「組織の心理的安全性を高め、組織内のコミュニケーションを活性化したいが、どうすれば心理的安全性を確保できるのかがわからない」「部下から上司へのフィードバックや1on1ミーティングほか、様々な取組を実践してきたが、なかなか組織変革につながらない」等の課題をお持ちではないでしょうか。
本稿では、「強い組織」をつくるためのコミュニケーション活性化について、新たな課題解決の視点を提示するとともに、その取組み方について解説します。

 

強い組織づくりの起点となる「関係の質」

そもそも、なぜ心理的安全性を高め、組織内のコミュニケーションを強化する必要があるのか。それは当然、社員が自律的に思考し行動できるような職場環境を作ることで、組織の生産性を高め、継続的な成長を実現するためです。しかし、レジリエンスが高い成長・発展を続ける「強い組織」を実現するには、単にコミュニケーション強化だけを一生懸命にやってもうまくいかないことは、別のコラムでもお話ししました。「組織の成功循環モデル」に当てはめて考えると、コミュニケーション強化はいわゆる「関係の質」に関わる部分であり、それは「思考の質」「行動の質」「結果の質」ときちんと因果関係をもってそれぞれの質を向上させていくことで、成功サイクルとして回していくことが重要です。(コラム参照:リンク)

とはいえ、やはり最初に重要になるのは「関係の質」です。なぜなら、すべての土台である「場」を温めないと、成功循環モデルは回り始めないからです。つまり、成功循環モデルを回すための起点となるのが「関係の質」であり、その「関係の質」を作るために組織内の心理的安全性を担保する必要があります。

 

 

しかし、「心理的安全性を担保する」とひとことで言っても、実際にはそう簡単にいきまん。先に述べたように、多くの企業がチャレンジしては壁にぶつかり、浮かび上がってきた課題を解決できないまま、八方ふさがりでどうすればいいかわからなくなったり、諦めそうになったりしているのではないでしょうか。

そこで今回は、少し角度を変えた視点からのアプローチで組織内の心理的安全性を高め、「関係の質」を向上させる方法について考察していきたいと思います。

 

ボトムアップの変革:草の根活動に火をつけるには

心理的安全性とは、トップダウンで確保できるものではありません。もちろんトップの意思は重要だが、それと同時にボトムアップの変革、すなわち現場の草の根活動も非常に重要です。では、トップの意思表示があることを前提として、現場の草の根活動に火をつけるにはどうすればよいのでしょうか。

ひとつの方法として、自燃性社員(自らモチベーションを上げて燃えることができる人)を起点として草の根活動を拡大していくことが考えられます。自燃性社員はもともと熱量が高いため、この自燃性社員が可燃性社員(自らモチベーションを上げるのは難しいが、他者からの影響があれば燃えることができる人)に働きかけることにより、可燃性社員に火をつけて、草の根活動として広げていくことができるのではないでしょうか。

 

 

では、その自燃性社員とは一体どこにいるのか。

アメリカの心理学者アダム・グラントの著書「GIVE & TAKE 『与える人』こそ成功する時代」によると、組織には与える人:ギバー(GIVER)と受け取る人:テイカー(TAKER)、そしてバランスを取る人:マッチャー(MATCHER)という3種類の人がいるといわれています。

この3種類は、おおよそ組織の中に25%:19%:56%の割合で存在し、それぞれギバーは「利他的」、テイカーは「利己的」、マッチャーは「調和的・返報性」という特性を持つ。

 

 

自組織にいるギバー(GIVER)とマッチャー(MATCHER)の歯車を回す

ギバーを自燃性社員、マッチャーを可燃性社員と捉え、ギバーとマッチャーの関係性を使ったアプローチで草の根活動を拡大させることができるのではないでしょうか。
グラントによると、マッチャーは頭の中にいつも「バランスシート」を持っている。そして、常に自分と相手の利益や不利益をバランスして、ギブ&テイクの帳尻を合わせようとする。そのため、何かをしてもらったら「すぐに」返そうとします。それだけでなく、自分が先行して誰かにギブすれば、すぐにテイクで補完したいし、逆に自分が他者から何かを受け取ったらすぐに返したい、という特性もあります。

これらの特性を活用して、組織の中で過半数を占めるマッチャーに対し、ギバーから感謝や称賛を投げかけるとどうでしょうか。利他的であるギバーは、他者のために投げかけることが喜びであるため、マッチャーのもとには感謝や称賛がどんどん飛んでくることになる。すると、受け取ったままでは気持ち悪いと感じるマッチャーは、すぐにそれを返そうとする。これを何度も繰り返していると、次第にマッチャーが「返した相手が称賛されて喜んでくれた」ということに気づき始め、「人に貢献できた」という喜びが芽生える。最初は返報性であったマッチャーからの感謝や称賛が、いつしかバランスを取るためではなく貢献感に変わり、少しずつギバーに近い感覚へと変化していくのではないでしょうか。

このように、ギバーが先行して働きかけ、そのエネルギーをうまくマッチャーに伝え、両者の歯車を回すことができれば、草の根活動は拡大し、自然と関係の質が向上し、心理的安全性も確保されるようになるのです。

 

 

このような取組みを実行するには、まず組織の中に存在するギバーが一体誰なのかを発見・把握し、ギバーを動かす必要があります。ギバーを見つけ出す方法は、例えば称賛カードを使って、贈ったカードの量やコミュニティにおける媒体中心性(コミュニティ間を橋渡しする度合い)などから把握する方法が考えられます。その上で、この歯車をうまく回していくことができれば、それは関係の質から思考→行動→結果の質を高めるための熱量を創出することにつながっていくことでしょう。

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