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組織変革の推進力となる「ファン社員」の見つけ方・育て方

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カテゴリ:
  • コミュニケーション
  • 組織マネジメント

組織の中には、自らの所属する会社や組織などの理念・組織文化に共感し、社内外に対して会社への愛着を語ってくれるような人が存在します。このような社員は、自社を愛し、自ら行動することで組織に貢献したいと考えており、会社のファンであると言えることから、PRAISE CARDでは彼らを「ファン社員」と呼んでいます。

今回のコラムでは、自社の中にいるこの「ファン社員」を見つけ出し、パーパスの浸透や組織変革の推進力として育てる方法をご紹介します。

 

1.「ファン社員」はなぜ重要なのか

かつては、自社でヒト・モノ・カネ・データ・チエというあらゆるリソースを囲い込むことで競争優位を築き、オペレーションを徹底的に効率化することが重要とされてきました。しかし、顧客のニーズのみならず従業員の考え方も多様化した昨今では、単に選択と集中による競争優位を実現するのではなく、組織の「存在意義=パーパス」を求心力として、これに共感してもらうことで価値創造につなげていくことが重要です。

この時、自社のファンである「ファン社員」を起点に盛り上げていくことで、ファン社員は自社のパーパスや働く意義、社内カルチャーまで自分の言葉で伝えてくれるアンバサダー役になります。ファン社員は組織同士の交流や一体感を求めており、自らの役割の範囲を超えてアイデアを出し行動する「自然性社員」です。従って、この自然性社員のチャレンジは、きっかけ次第で可燃性社員を刺激し感化することにつながっていくのです。

 

2.ファン社員はどのように見つればよいのか

では、自社にいるファン社員を見つけ出すには、どうすればよいのでしょうか。

ここで重要となる指標の一つが、「ドライ」と「感情」の軸です。これまでの組織マネジメントにおいては、仕事なのだから割り切って合理的に判断しなければならない、という「ドライ」な側面が求められてきました。しかし、そうはいっても人間は感情に引きずられる生き物です。仕事だからといってドライになりきれるわけではありません。そこで重要になってくるのが「感情」の側面です。

「感情的になる」というとネガティブなようにも聞こえますが、そうではなく、自分の気持ちを大切に、内発的動機付けに基づいて自分らしく活躍することができる世界、それこそがファン社員の求める世界であり、目指すべきゴールであるとも言えます。

 

図:自分らしさで活躍できる世界

このような中、この「ドライ⇔感情」の軸に、アメリカの心理学者アダム・グラントの著書「GIVE & TAKE 『与える人』こそ成功する時代」で提唱されている「ギバー(GIVER)」と「マッチャー(MATCHER)」の視点を掛け合わせます(※1)。ギバーは利他的であり、他者の役に立つことが喜びであるため、組織コミュニケーションにおいては橋渡し役を担う非常に大事な存在です。一方、マッチャーは「頭の中にバランスシートを持つ」とも言われるように、常にギブ&テイクの帳尻を合わせようとするため、他者から何かを受け取れば返そうとするという特長を持っています。

※1:コラム「組織のレジリエンスを高めるコミュニケーション活性化の突破口とは?」参照

 

ファン社員と4象限の関係性

この4つの軸にあてはめて考えると、「感情」の側面を強く持ち、かつ、他者の役に立つことに喜びを感じる「ギバー」である人たちは、まさに「コアファン社員」であると言えるでしょう。彼らは自然性社員であるため、まずはこのコアファン社員を巻き込む必要があります。
次に、「感情」の側面を持っているが主体的には動かず、バランスをとって刺激があれば動く人(A)は、コアファン社員まではいかないものの、強力なファン社員と言えます。
また、現時点ではドライな「Notファン社員」に位置づけられる人(B、C)も、きっかけさえあれば動き出す「ファン社員予備軍」ではないかと考えられます。

ここでPRAISE CARDを用いると、次のようなことが見えてきます。

 

  • 他者を称賛することは自分の感情を表に出すことに通じるため、称賛カードをたくさん贈ったりもらったりしている人は、「感情」寄りの人であることが推測される。
  • ネットワーク分析により媒介中心性を見ると、誰が橋渡し役になっているかが見えてくるため、ギバーの要素を持つ人を抽出できる。

そして、このカードの送受信量の多さと媒介中心性の高さの両方が満たされた人こそが、まず見つけ出すべき「コアファン社員」である可能性が高いということができるのです。「コアファン社員」を見つけることができれば、声をかけることで喜んで協力してくれることでしょう。

 

PRAISE CARDで把握できる組織の現在地

3.ファン社員をどう育てるか

「コアファン社員」が見つかったところで、次に「ファン社員(A)」「ファン社員予備軍(B、C)」をコアファン社員へと育てるにはどうすればよいでしょうか。3つの層に分けて説明します。

まず、コアファン社員にもっとも近い位置にいる「感情×マッチャー(A)」層は、ギバーであるコアファン社員が積極的に称賛を贈ることで、それを返そうという気持ちが働き、それを繰り返すうちに少しずつ自ら相手を称賛することに慣れ、「感情×ギバー」つまりコアファン社員に近づいていくことが考えられます。

「ドライ×ギバー(B)」層は、仕事において「ポジティブな感情を出しやすい環境」を作ることが効果的です。この層は、ドライゆえに現時点ではファン社員とは言えませんが、もともと利他的な性質を持っているため、互いに称賛し合う環境の中で相手に対してポジティブなフィードバックをしていくうちに、仕事だけれど「ドライ」ではなく「感情」の側面が出てきてコアファン社員に近づいていくのではないでしょうか。

「ドライ×マッチャー(C)」層は2段階で巻き込んでいく必要があります。まずは互いを称賛する環境で「感情」の側面を伸ばし、「感情×マッチャー(A)」層に近づいたところで、ギバーであるコアファン社員から称賛を贈られることで、コアファン社員化していくのです。

このように、隠れたファン社員を見つけ出し、そしてファン社員、コアファン社員を育てていくことで、組織は大きく変わります。

そのどちらにも、PRAISE CARDは大きく役立ちます。
ご興味をお持ちの方は、ぜひこちらよりお問合せください。